絶滅危惧種『ヒト』

駅前に着いたけど、いつもの人通りがない。

それは今までに見たことがない異様な風景だった。

日曜の朝とはいえ、こんなにも人が少ないのは、やはり昨日大々的にニュースで感染のことを取り上げたからだろう。


切符を買ってホームへと向かう。


電車が到着して乗り込むと、さすがに結構人が乗っていた。


おそらく地元の者でない者にとっては、感染騒ぎも所詮対岸の火事なのだろう。

梓は昨夜のニュースを思い出した。


突然大量の感染者が出たことと、その感染者の大半が光ヶ丘高校の生徒だったことで、いつもの見慣れた校舎がテレビに映ったのだ。


「ねぇ聖人?」


「ん?」


「お兄さんが感染してたとしたら、発病するのが今日の可能性が高いんだよね?」


「ああ、四日くらいで発病って言ってたから」


「あの日、東城医大病院で感染した人って、何人くらいいるのかな?」


「さぁ? でも、東城医大病院だけじゃなく、新幹線の中とか、それこそあっちこっちで発病者は出てるから……」


「じゃああの日にそれぞれの場所で、多くの人が感染してたら、今日あっちこっちで発病者が出るって事だよね?」


梓は不安げな顔で聖人を見る。


でも、それに対して聖人は、眉を曲げただけで何も答えなかった。いや、答えることが出来なかったのだ。


今、頭の中に浮かんだビジョンが、あまりにも恐ろしすぎて……。