絶滅危惧種『ヒト』

「どういう意味だ?」


井上が眉をしかめる。


「あまりにも小さいから、ウイルスだと思い込んでいたけど、実はこれって細菌じゃないのか?」


「え?」


「自分で細胞を持たないウイルスが、宿主の細胞が死んだのに未だに不活化しないなんておかしいだろ?」


「そうだ。それだ」


井上が目を見開く。


「細菌なら抗生物質が効く!」


井上が目を輝かせて叫び、直樹が頷く。


すぐに培養しているシャーレの元に向かった。


ところが……



「ダメだな。細菌じゃないのか……?」


残念ながら抗生物質も有効ではなかった。


もちろん抗生物質に対して、耐性のある細菌もあるから、これによって即これが細菌ではないとは判断出来ない。


しかしこれでまた分からなくなってしまった。


とにかく0度以下で活動を休止すること以外は、まったく何も分かっていないのである。


何でもいいから手がかりが欲しい。でなければ、それこそパンデミックを引き起こしかねないのだ。