乱華~羽をくれた君~Ⅱ【完】


他人に彼氏の話をされるのが苦手だ。

こういう時はすぐ話題を変えたくなる。


「美優さんもいるんじゃないですか?」


こんなに綺麗な人なんだもの、いて当然だよね。


だが、美優さんの表情は一気に曇ってしまった。

やば…聞いちゃまずかったのかな!?


「今はいないよぉ、最近はすぐ別れてばっかりで…」


「そうなんですか…」


それ以上あたしは何も聞けなかった。

やばいなぁ…

なんか悪いこと聞いちゃったみたい。


きまづい空気が休憩室に漂う。


すると、美優さんが静かに口を開いた。


「…忘れられない人がいるんだよね」


「忘れられない人?」


「うん。もう5年くらい経つんだけどさ、色んな人と付き合ってもやっぱだめなの。あの人じゃなきゃ…」