乱華~羽をくれた君~Ⅱ【完】


ぷつりと何かが切れたように、涙が出てくる。

こんなに大声を出して泣いたのはいつぶりだろう。


しばらく看護士さんが宥めてくれて、あたしは落ち着きを取り戻した。


治療室の中に入ると、陸さんの姿が見えた。

沢山のチューブに繋がれていて、痛々しい姿だった。


「陸さんっ…」


そう呼びかけても、もちろん返事はない。


「死んだらだめだよっ…絶対だめだよ…」



目を開けない。


笑わない。


返事もしない。


あたしがこんな風に側で泣いたら、いつもぎゅって抱きしめてくれてた。


“こんな事くらいで泣くんじゃねーよ”って


頭をポンポンって、撫でてくれてた。


なのに、今は何もしてくれない。

こんなに泣いてるのに、なにも…。