「危険な状態なのには変わりありません、2.3日が山だと思っててください」
隣で美優さんが肩を震わせ、静かに泣いている。
あたしは自分の心臓の音が耳に鳴り響いていてうるさかった。
「意識を取り戻しましたらこちらから連絡させていただきますので、お二人は一度帰宅して下さい。お二人の体調も心配ですから…」
そう言って、医者は軽く頭を下げると、病室を出て行った。
それに続いてあたしは病室を飛び出すと、治療室へ向かった。
「藤沢さんっ走らないでくださいっ」
近くにいた看護士に止められたが、そんな事耳に入ってきやしない。
「陸さんにっ…陸さんに会わせてくださいっ」
「落ち着いて下さい!」
取り乱しているあたしの体を、しっかりと押さえつける看護士さんの前で、あたしは大泣きした。



