乱華~羽をくれた君~Ⅱ【完】


「だから今回も自信なんて全然なくて。でもここに来たら、少しは俺の事も思い出してくれっかなーって思ってさ。康大にはわりーけど、ここで話してって頼んだ」


「少しどころじゃないよ…ずっと考えてたよ!」


この景色も匂いも風も、全てが陸さんの事を思い出させてくれる。

忘れるなんて、絶対ありえない。


「あたしは…陸さん以外好きになんかなれないんだよ?」


康大にときめいたことも正直あったけど、それ以上の思いにはならなかった。


それは心にはいつも陸さんがいたから。



「…じゃーさ、全部吐き出せよ。受け止めっから、なんでも言え。思ってること」


「お、思ってること?」


「奈緒、ずっと俺に言えない事あんだろ?康大の事かと思ったけどそうじゃないなら、なんなのか気になんだよ」