「だから今回も自信なんて全然なくて。でもここに来たら、少しは俺の事も思い出してくれっかなーって思ってさ。康大にはわりーけど、ここで話してって頼んだ」
「少しどころじゃないよ…ずっと考えてたよ!」
この景色も匂いも風も、全てが陸さんの事を思い出させてくれる。
忘れるなんて、絶対ありえない。
「あたしは…陸さん以外好きになんかなれないんだよ?」
康大にときめいたことも正直あったけど、それ以上の思いにはならなかった。
それは心にはいつも陸さんがいたから。
「…じゃーさ、全部吐き出せよ。受け止めっから、なんでも言え。思ってること」
「お、思ってること?」
「奈緒、ずっと俺に言えない事あんだろ?康大の事かと思ったけどそうじゃないなら、なんなのか気になんだよ」



