康大はしばらくあたしを見つめた後、フッと笑い、俯いた。
「やっぱりダメか…」
「え?」
「ちょっと待ってな」
そう言い、ポケットから携帯を取り出して誰かに電話し始めた。
こんな時に…なんで!?
もしかして…
あたしからかわれてた!?
コソコソと誰かと話し、康大は電話を切った。
「あのさ…康大、あたしの事からかってる?」
「え?…いや、からかってねーよ、本気。本気だから俺はこの話にのったんだ」
「話にのった?」
「もうちょい待てばわかる」
不審に思いながらもその場で待っていると、遠くから人が歩ってくるのが見えた。
「…誰?」
そう言った瞬間、胸がドキンと高鳴った。
そう、あたしの視線の先には、陸さんがいたから。



