乱華~羽をくれた君~Ⅱ【完】




陸さんとの、一つ一つの想い出が蘇ってくる。


彼がいなければ―――


あたしは今ここにいないかもしれない。


本当のあたしを見つけ出してくれて、そして愛してくれた。


彼を愛すのも、彼から愛されるのも、あたしだけだと、信じたい。





「藤沢…」


康大の顔が近づいてきたとき。



「…ごめん、康大…」


あたしはそうつぶやいた。



「彼はね…あたしの事をいつも泣かせたりするけどね…それはあたしがすごく彼の事が好きだからなの」


康大はじっとあたしを見つめている。


あたしは続けて言った。



「あたしの事を本気で泣かせる事ができるのも、本気で笑わせる事ができるのも、彼だけなの」



どうして、今までこんな簡単な事、気づかなかったんだろう。


陸さんを想うとこんなに涙が出てくるのに。