乱華~羽をくれた君~Ⅱ【完】




『ほしーっつってなかった?』



そう言ってあたしに渡したネックレス。

あたしが欲しいとつぶやいていたのを、覚えててくれて、内緒で買ってきてくれたんだ。

陸さんはいつもあたしの言葉を聞いていないようで聞いている。

そして初めてキスをして、キスってこんなに温かくて優しいものなのだと、知った。





『恐いんだよ、あんたが俺の前からいなくなんじゃねーかって』



過去の事、百合さんの事を話してくれて、本当の気持ちを知ることができた日―――

陸さんはそう言って切なそうにあたしを見つめていたよね。


この時、彼を守れるのはあたししかいない。

そう思った。




『・・・おまえは汚れてなんかいねーよ』


その一言で、どれだけあたしは救われたか。

全身であたしを丸ごと包み込んでくれた。


すごく温かくて、このまま死んでもいいなんて思った。