『ほしーっつってなかった?』
そう言ってあたしに渡したネックレス。
あたしが欲しいとつぶやいていたのを、覚えててくれて、内緒で買ってきてくれたんだ。
陸さんはいつもあたしの言葉を聞いていないようで聞いている。
そして初めてキスをして、キスってこんなに温かくて優しいものなのだと、知った。
『恐いんだよ、あんたが俺の前からいなくなんじゃねーかって』
過去の事、百合さんの事を話してくれて、本当の気持ちを知ることができた日―――
陸さんはそう言って切なそうにあたしを見つめていたよね。
この時、彼を守れるのはあたししかいない。
そう思った。
『・・・おまえは汚れてなんかいねーよ』
その一言で、どれだけあたしは救われたか。
全身であたしを丸ごと包み込んでくれた。
すごく温かくて、このまま死んでもいいなんて思った。



