乱華~羽をくれた君~Ⅱ【完】



「この前…あの帰りになんかあったんだろ?彼氏と…」


康大は俯いて砂をいじりだした。


「…うん」


「俺が変な事言ったからだよな…悪い。なんかヤキモチ…っつーの?正直、別れればいーななんて思ってた」


「康大…」


その時、康大の目線が、砂からあたしへと移った。


「俺、まじで藤沢を大事にしたい。そんな風に泣かせたりしない」


何故なのかわからないが、あたしは目に涙が溢れていた。


康大の手が、あたしの頬にそっと触れる。






『こんな付き合い方でもいーならっ』






その瞬間、陸さんに告白した時に言われた言葉が頭をよぎった。

それと同時に、その時に見せた優しい笑顔も思い出した。


あの時は、彼の過去の辛さや悲しみなんて、1ミリも知らなかった。