康大は靴を脱いで、波打ち際ではしゃいでいる。
まるで子供のように無邪気な顔をして。
あたしが近くまで行くと、康大はあたしの隣に座った。
「ここさ、昔から好きな場所なんだよ」
「そうなんだ」
「うん。なんか辛いこととか、嫌な事あったとき、ここで思いっきり叫ぶ」
「叫ぶの?なんて?」
「“あーーーーーー!”とか、“ぐあーーーーー!”とか適当」
その答えに、思わず笑ってしまった。
「笑うなよ!叫ぶとマジで元気でんだよ」
「そうなの?」
「そうそう、ただし人いねーときな、恥ずかしいから」
そう言って周りをきょろきょろと見回す。
「お、今日人いねーからイケっかも」
「やるの!?」
「ああ、お前がな」
「え!あたし!?」



