そう言って携帯を取り出して「赤外線ある?」なんて聞いてくるから思わず立ち上がった。


「人待ってるのですみませんけど!」


「え?いいじゃん、一瞬だから。教えてよ」


あたしの目の前に立ちはだかり、ずいずいと迫ってくる。


「本当に無理っ…」


そう言いかけたとき、誰かに腕を引っ張られた。


「…何してんの?」


陸さんがあたしとその男の間に割り込んだ。


「あ?なんだよ、俺が先に目ぇつけたんだけどっ」


その男は陸さんの顔に近づいた。


「…消えろ」


「は?てめーが消えろよ!っつーかやんのかぁ!?」


「死にたくなけりゃー今すぐこっから消えろ」


そして男の手首を捻りあげた。


「いっってぇーーーー」


陸さんの鋭い眼光が男を怯えさせる。