山吹薊(やまぶき あざみ)は蓮沼博人(はすぬま ひろと)と結婚を前提に付き合っている。なので最短で結婚資金を貯める方法を日々模索していた。




  だが困った事に薊は天邪鬼(あまのじゃく)である。『人に右へ行け!と言われれば左に行き、そうですね?と聞かれればいいえ違います』と答える。 




  その日薊は急ぎ足で博人とのデートの持ち合わせ場所に向かっていた。そして薊が細い路地裏を通った際ふと横を見ると、パープルの衣服を身に纏(まと)った女占い師が椅子に座り、真剣な面持ちで若い女の子を前に、水晶玉をじっと見つめているのが目に留まった。