卒業生のひとりは、おじいさんからの手紙を持ってきていた。
「毎日笑えることを幸せに思ってください。誰かが自分におはようと言ってくれることをありがたく思ってください。温かい食事がどれほど美味しいのか、ちゃんと感じてください。綺麗な水で手を洗えること、お風呂に入れること、布団で眠れること、全部当たり前のことではありません。勉強できる幸せをもっと知ってください。あなたたちは、夢を持つことができる。何を食べようかなと選ぶことができる。帰る家がちゃんとある。大事な友達や先生、家族がいる。すべてのことに感謝の気持ちを持って、生きていって欲しいと思います。今の人には考えられないような時代があったんです。そのことを忘れないでください」
暑い体育館に、スーっと涼しい風が吹いた。
体育館の窓のカーテンが揺れる。
俺は徳田の姿を見つけた。
真剣な表情で、話を聞いていた。
どんな想いで、今の手紙を聞いていたんだろう。
徳田の辛い状況は変わらないかもしれない。
でも、戦争時代の話を聞くことで、何かが変わるんじゃないだろうか。

