全校生徒の前に、パイプ椅子が並べられた。
4人の戦争体験された方と、2人の卒業生が座った。
卒業生のうちひとりは、俺も教えたことのある生徒で懐かしい再会だった。
ここに集まる前に職員室に来てくれて、いろいろと話すことができた。
「今日は静かですね」
俺は隣にいる喜多先生に耳打ちした。
「そうだな」
喜多先生は腕組みをしながら、嬉しそうに微笑んだ。
全校生徒が集まるといつもは騒がしい。
でも、今日は少し静かだった。
そのことがとても嬉しかった。
年々、戦争への関心が減ってきている気がしていた。
俺はホームルームで話す程度だったが、歴史を教えている先生も心配していた。
だけど、今の生徒達の表情を見ていると、みんな真剣で・・・・・・
さすが、俺達の生徒だなって胸を張りたくなる。