「ほら~!先生ってば!よだれふいてあげてよ」 「お、おう」 俺にはわからなくても、直にはわかることがたくさんあって、尊敬する。 さすが母親だなって。 泣いている理由も、俺には全然わからない。 でも、直にはわかる。 「あ~、抱っこ?そらぁ~。抱っこしてあげる~」 優しい声。 直に抱かれた空はご機嫌顔で俺を見た。 “ふふふ、いいだろ?”ってそんな顔をして。