「本当にすいません」
俺の目をまっすぐに見つめたまま、大和は言った。
俺は何も答えられず、その目に吸い込まれそうになっていた。
「新垣先生は俺から見てもかっこよくて、不安だった。斉藤先生が新垣先生を好きになるんじゃないかと」
斉藤先生とのことには触れないつもりだったが、大和から言い出したので、俺は知らないフリをすることができなかった。
「斉藤先生のことが好きなの?」
「はい。ずっと追いかけてようやく俺のものにしたんです。でも、新垣先生に奪われる。きっと、もう俺は捨てられる」
こんな大和の姿は初めて見た。
「斉藤先生と校内で会うのはやめた方がいい。本当に好きならあと半年我慢して卒業してから付き合えばいい」
「そんなの全然おもしろくない。校内でイチャイチャするのが楽しいんじゃん」
いつもの大和の顔じゃなかった。
ニヤっと笑う。
斉藤先生も同じようなことを言っていた。
お互いにスリルを楽しんでいるだけのように思えて、応援する気持ちが減っていく。
俺は、自分自身生徒と結婚したこともあって、ふたりを応援したかった。
本気なら、ね。