それから約三時間続いたドンチャン騒ぎ

単車の整備は終わったらしくみんな疲れ果てた表情で

『解散』

その言葉と共に糸が切れたように倒れ伏した人がチラホラ

元々家なんて有って無いようなモノだから
オレは全員の元を辿って布団を掛ける




影龍としての次の作戦はもうすぐ決行される

琥亜には伝えなければならない

それは――琥亜だけでなく胡陽も成之も樹杜も
裏切ることになる

このハシリが最後だ




倉庫の前にある浜に出た

遠くには水平線が見えるはずなのに、漆黒の空と重なり永遠に続くかの様な錯覚を覚える

星の瞬きに目を細め
月の美しさに惚れ惚れとした感嘆の溜め息をつき

その暗黒の世界に一人身で身を投げ出す様な

辛く苦しい過去を思い出させる様な

そんな空気が纏わり付くのを肌で感じた


「龍希…」
やってきた成之と樹杜
後から胡陽と琥亜も見える

『座れよ』

その言葉に応じるようにオレの近くに腰掛け、みんなで果てしない空を見上げた

「また何かやるんですね」
『ああ』
「無茶しないでくださいね」
『ああ』
「決めたんだね」
『ああ』
「龍、お前の決めたコトにオレらは従う」
『ああ』

樹杜、成之、琥亜、胡陽の順に語りかけてくれる
『ありがとう』
その呟きと共にオレの頬に暖かい何かが流れた

やがて沈黙が支配し、耐え難い睡魔にやられたのか四方八方から小さな寝息が聞こえてきた