腹黒王子と意地っぱりガールの場合。

「覚悟は決めた? ジュンジョーあかりチャン」

「なっ、き、決めるわけ、」

「ああ残念、もう時間切れ」



言いながらにっこり、自分の中で最上の笑顔を浮かべて。

右手は彼女のあごに、左手は腰に添えて、ぐっとそのからだを引き寄せた。

ひゃあ、と、彼女が色気のない悲鳴をあげる。



「ちょっ、……マジで?」

「大マジで。」



バッサリ言い放ってから、ゆっくりと、顔をかたむけていく。

目を白黒させてオレを見上げていた彼女は、それでもようやく覚悟を決めたように、ギュッとまぶたを固く閉じた。



「………」



だんだん、くちびるが近付いていく。


あと20㎝……

10㎝……

……