「まあ、キスってのはアレだろ。要は口と口をくっつける行為なんだから、その直前に食べてたもんの味がするだけだろ」
「……なんか、夢もロマンもない……」
「現実とはそういうもんです」
ようやくこの話題から逃げ出せた、と、オレはさっさと資料室を後にすべく、頼まれた資料探しを再開させる。
同じように棚の冊子を目で追っていたあかりが、不意にあ、と小さく声をあげた。
こちらに向けられたその顔には、イタズラっぽい笑み。
「じゃあ……今隼人とキスしたら、コーラの味が、するってわけだ?」
「……は、」
突然のせりふに一瞬呆けてしまうも、してやったり顔の彼女を見て、すぐに合点がいった。
……あかりからは見えないだろうと思っていた位置に置いていた、コーラのペットボトルに。どうやら彼女は、気付いていたらしい。
「資料室は飲食禁止ですよ、生徒会書記の大鷲 隼人くん?」
「あー……」
「ふふん、戻ったら会長と伊梨亜に言いつけちゃおーっと」
うちの生徒会における、名目上と実質的な支配者の名前を出して笑う彼女に、対するオレは苦虫を噛み潰したような顔だ。
鼻唄交じりで、あかりは中腰になりながら棚の1番下まで目を走らせて。
そうしてからだを起こした彼女が、んーっと、その場で伸びをする。
「……なんか、夢もロマンもない……」
「現実とはそういうもんです」
ようやくこの話題から逃げ出せた、と、オレはさっさと資料室を後にすべく、頼まれた資料探しを再開させる。
同じように棚の冊子を目で追っていたあかりが、不意にあ、と小さく声をあげた。
こちらに向けられたその顔には、イタズラっぽい笑み。
「じゃあ……今隼人とキスしたら、コーラの味が、するってわけだ?」
「……は、」
突然のせりふに一瞬呆けてしまうも、してやったり顔の彼女を見て、すぐに合点がいった。
……あかりからは見えないだろうと思っていた位置に置いていた、コーラのペットボトルに。どうやら彼女は、気付いていたらしい。
「資料室は飲食禁止ですよ、生徒会書記の大鷲 隼人くん?」
「あー……」
「ふふん、戻ったら会長と伊梨亜に言いつけちゃおーっと」
うちの生徒会における、名目上と実質的な支配者の名前を出して笑う彼女に、対するオレは苦虫を噛み潰したような顔だ。
鼻唄交じりで、あかりは中腰になりながら棚の1番下まで目を走らせて。
そうしてからだを起こした彼女が、んーっと、その場で伸びをする。



