何、これ……。

なんか、胸のあたりがもやもやする……。


あかりが右手で胸元をぎゅっと掴むと、隼人が呆然と立つ女の子をその場に残したまま、こちらに向かって歩いてきた。



「……覗き見なんて、趣味悪ぃな」

「……別に、見たくて見たんじゃない」



1週間前と同じような言葉を交わすと、隼人はまた1週間前と同じように、「ふ~ん?」と鼻を鳴らした。



「てか……いいの? あの子置き去りにして」



あかりがちらりと焼却炉に視線を向けると、先ほどの女の子が友達と思われる女の子に付き添われて、向こうに消えて行くのが見えた。

どうやらその友達は、影からこっそり見守っていたらしい。



「あ? だって断ったし」

「はっ??!」



相変わらず飄々とした顔で答える隼人に、あかりは思わず声をあげる。



「なっなっなんで?! あんなくっついてたじゃん!!」

「あれはあかりが見てたから、ああしたらあかりがどういう反応するかと思って」



しれっと涼しげなカオでそう言う隼人の顔からは、罪悪感など全く感じられない。

ポカンと、思わず間の抜けた表情になってしまう。



「はあ~っ??! 何それ!?」



一気に脱力したものの気は収まらず、あかりが隼人に向かってこぶしを振りおろそうとする、が。

ぱしっと簡単に、腕を掴まれた。

顔には、あのにくたらしい微笑み。



「何? あかり、やきもち?」

「な……ッ!!」



かーっと、あかりの顔が赤くなる。

それを自覚してか、掴まれた腕を勢いよく振りほどいたあかりは「そんなわけない!!」と声を荒げて歩きだした。

それを隼人は、くすくす笑いながら追いかける。



「ついてくんな!!」

「目的地が同じなんだから仕方ねーだろ」



……あたしと、コイツが?

そんなの、絶対ない!!



「つーかあかり、ゴミ袋は?」

「……あ」






/END