卑怯な私




「遊人から『優子が逃亡してた』って聞いたんだけど、嘘、だよな・・・・・?」



一歩、また一歩とゆっくり近づいてくる翔樹。



「遊人が大袈裟に言ってるだけだよな?」



そんな顔しないで。



自分を追い詰めようとしないで。



「遊人の勘違いだよな?」



とうとう目の前まで来てしまった翔樹。



ココまで来れば嫌でも目に入る足元に置いてある荷物達。



「嘘、だろ・・・・・・・?」


「・・・・・・」



何も言えなかった。



言葉が見つからなかった。



「なぁ!」




肩に手を置き、前後に振って必死に回答を待つ翔樹に胸が苦しくなった。




誰かに心臓を握り潰されている感じに______・・・・・・・