卑怯な私




そして真後ろに遊人の気配を感じた。



遊人にとって何気ない仕草だったのだろう。



肩に手を置かれた瞬間、反射的に振り返ってしまった。



「遊人・・・・・・・・」


「どうしたんだよ」



つい遊人の顔を見てしまったら心が揺らいでしまった。



揺らいじゃダメなのに・・・・・・



翔樹の背中姿を見て強く決心したのに・・・・・・



「は・・・・・・?お前、その荷物は?」



遊人に指摘され、隠し忘れた荷物の存在を思い出す。



ヤバッ・・・・・・



咄嗟に隠したが既に時遅し。



「旅行、って訳じゃなさそうだな」



このままではばれてしまう。



この街を出て行けなくなってしまう。