卑怯な私




可笑しいなとは思ったが、真黒に焦げた部分だけを取り除いたパン。



それに裏面だけ焦がしたベーコンに、グジョグジョの目玉焼き。



見た目も味も最悪だったが、努力の結晶が優子の手に現れていた。



それを見ただけで何も言えなくなったんだ。



声が戻ってから優子も前に進もうと頑張っているんだと思えたから。



「今日はどう!?」


「またこのメニュー?これで5日目なんだけど」



流石に5日もやっているだけあって焦げは薄くなっている。



「しょうがないじゃん。私、これしか出来ないんだもん」


「まあ変なもん食わされるよりはマシか」


「ひっど~!」



ポカポカと叩いてくる優子を見てつい笑みを溢してしまう。



まだ外に出ない優子の代わりに買い出しに行っているのは俺だ。



なんだかんだ言っても朝食の材料も買うのは俺なのだ______