「突然こんなとこ呼び出してごめん。」
(あと、話をなかなか切り出さなかったことも・・・)
拓海の口からは出たのはまず謝罪だった。
焦げ茶色の前髪をくしゃくしゃっとする。
「いえ、平気ですよ。」
日菜は俯いたままなるべく明るく答えた。
実際、全然平気ではなかったが。
「俺さ、ずっと言いたかったことがあんだよね。」
半袖にはまだ肌寒い風が、日菜と拓海の髪をさらさらとなびかせた。
自然全体で初夏を告げている。
木も草も虫も風も空も。
拓海の声は先ほどより柔らかくなっている気がした。
日菜はきゅっと服の裾を掴む。
(ずっと言いたかったことなんて、あったの・・・?)
(私と樫本さんなんてバイトをしててもプライベートなことは何も話さないし、ぶっちゃけ私・・・樫本さんのこと避けてますし・・・)
(あっもしかして避けてるのが駄目だったかな!?バレバレだった・・・!?)
日菜は考えを駆け巡らせてまた不安に陥る。
