(なんで呼び出して何も言わないのこの人・・・!!)
心の中の自分が頭を抱える。
拓海はベンチに座ってから何も話を切り出さない。
夏の虫がうるさく感じるほど日菜はもちろん拓海も黙り込んでいて、ベンチの周りだけ音がなくなった世界のよう。
チラッと少しだけ頭を動かし拓海を見ると、太ももに握り拳を置き落ち着かない様子で地面を見たり空を見たりしている。
だが何も言ってこない。
まぁ何か言いたげなのは事実だ。
(あ〜〜〜〜もう早く何でも良いから喋ってぇーーー!!)
沈黙に耐えきれず、日菜も拓海と同じ体勢でギュッと目を瞑った。
「羽根川さん。」
目を瞑った瞬間。
夏風がすぅっと肌を撫でるように低い声が耳に吸い込まれた。
長く感じた沈黙がやっと破られる。
日菜はハッとして目を開き隣を見ると、こっちを見ている拓海とバッチリ目が合った。
日菜は反射的に拓海から目を逸らし手元を見て俯く。
(あからさますぎた・・・)
日菜は分かりやすく目を逸らして後悔したが、拓海は気に止めない様子でまた言葉を続ける。
