ロールキャベツと女子高生




日菜が自動販売機を14周ほど歩き回った頃、暗闇の中から微かな足音が聞こえてきた。


思わずヒッと口から出てしまう。


日菜の心拍数は一気に上がり、バクバクバクとうるさいほど高鳴っていた。


(こんな緊張するの小学生の頃のピアノの発表会以来だ・・・)


ピアノの発表はいつも大嫌いだった。


自分の順番が来るまで年下の演奏を聞いているあの時間。


不安で仕方がなかったあの時の気持ちが今と似ている。


それほど日菜にとって年上の男は怖くて苦手な存在。










「ごめん待たせて。」


足音がピタッと止まり、暗闇から自動販売機の明かりで全身が露わになった。


拓海の低い声は、少しだけ身震いしてしまうほどよく通っている。


私服姿の拓海。


日菜は拓海と終了時間はほぼ同じだが、ロッカーで拓海と2人きりになりたくないのでエプロンを脱いだ後は忍者のように素早く帰る。


だから拓海の私服をまともに見るのは、これが初めてかもしれない。


顔も声も、さらには私服もかっこいいのかと日菜はまたさらに拓海を苦手になりそうだった。