ちっこいラブやもしれんけど。(12/22完全完結☆)

「…どないしたん、阪本くん?」



「…………。名残惜しいなあ…思て。」



「……え。」



じわり、じわりと…阪本くんは、近づいてきて。





私の腕を…掴む。




ゆっくりと…顔が。近づいていく…………。









『ええか、日向!ヤツの顔が近づいてきたらなあ、お前はナニも考えんと…、とにかく、動くな!何もするな!余計なことはせんでええ!』



この前、由良が言っていた言葉を……


思い出す。






何も、考えず……


動かず………。




「「…………。」」





……なのに…、



ぽわんと頭に浮かんだのは……



やっぱり……アイツの顔。



すぐ近くで息遣いを感じたその瞬間に……、


私は、両手で阪本くんの胸を…つき返した。







「………!……ご、ごめん、つい……。」




また…、やってしもうた…。





「……。こっちこそ……。あせってごめん。」



「…………。」

焦る……?



「ごめんな、つい手が……。ゆっくりでええんよ、本当は。なのに…何でやろな?なかなか距離縮まらんから……焦ってんのかも。」



「阪本くん……。」



「余裕ないな、やっぱり…由良がおるせいやろなあ……。」



「………。」




「………。そんなん顔…せんでよ。どついて貰った方がなんぼホッとするやろ……。」




「…………。」



「……じゃあ…、今度こそ…、行くわ。」




「…うん。」



「とりあえず、補習頑張れ。」



「…うん。」




「…………ホラ、笑って笑って!大丈夫だから!」


また、大丈夫言うた…。




「笑わんとチュウするで。」



「………えと…。」



「冗談やって。ほな…、またな!」



「……うん…、また…!」





私になりかわって、にこりと笑う阪本くんに対して……、



罪悪感が…込み上げてくる。




近づいたような、遠退いたかのような……



微妙な距離。



進展しているかと聞かれたら……




NO。





ましては……


なんと、花火大会すらご一緒できん。



その日が誕生日だ、などとは……


言える雰囲気でもなく。









夏休み……、


二大カップルイベントを、この度……


一人で過ごすことになりましたとさ。