「……ちょ…、大丈夫?どうしたっ小夏……。」
「……おや?おかしいな。なんやねん……。」
涙が…ぽろぽろと出て来よる。
ヤバイと思て後ろを向くけれど……。
既に気づかれてしまったんか、次第に…周囲がざわついていく。
「泣いてる……。」
「狂犬が泣いとるで。」
失礼やなぁ…。
涙する乙女にそりゃないで。
「秋大、お前またなんかひどいこと言うたんやろ。」
「何でやねん!話してもおらんやないかい!」
だからなあ、それが原因なんやで、由良。
鈍感大賞てモンあったら、アンタ間違いなく…優勝しとるわ。
「…狂犬泣かせられんの、由良くんくらいしかおらんやろ?」
細谷くん……。
すごいなぁ。珍しく的を得たで。
アンタこそ、大賞…、いや、大将や!
(注:イメージはハダカの大将)
「…悪いなぁ、細谷くん。おにぎりもう食べてもうたんよ。あげられんで、ごめんなぁ……。」
さぞかし……
欲しかったろうに…!!!
ピロリン…♪
「…ん?」
スマフォが…
なってる。
私はソレをスカートのポケットから取り出して……、
画面を確認する。
「…………!」
『何で泣いてる』
ライン……。
「なんや、お前彼女にメールしとんのか~?」
「せや、ラブラブやもん。」
送り主は……、
由良……。
何で?何で、口利かんとこんなん送ってくるんよ……?
ピロリン♪
『話聞いてほしーか』
「………。あほー……。しゃべった方が早いやろ……。」
くるり、と…由良の方へと振り返ると。
奴はちっとも…見向きもしない。
その代わりに、
「ちょっとトイレ行ってくるわ。連れションしたい奴は来てもええで~。」
そう言って、ちゃっちゃと…教室を出て行った。
「……………。」
つまり……、
私に連れションしろ、と……?
ウチらのやりとりなど誰も気づくことなく、
また、ざわざわと…賑わい始める。
「小夏…、大丈…」
「……大丈夫。ちと、トイレに行ってくるわ。」
「……。え、連れション?」
「…ちゃうわ…。」


