あの、キーキーやかましい声。
お猿さんやんか。
それに…、そいつを引きずってこっちにやって来るのは……。
可憐な…乙女。
「……ひいちゃん?」
「え?」
阪本くんも、くるりと後ろへと…振り返る。
なんや、ひいちゃん。由良取っ捕まえて…、サルまわしの練習か?
「だいたい何で俺が謝らんとアカンのや!」
「知らんけど…、アキラからメールきてん。こーゆー時は、男から謝った方が丸くおさまるんやで?」
ずるずる……
ずるずる…………。
二人は、次第に……近づいて来る。
「ウチのこなっちゃん傷つける奴は……許さへん!……て、…あ。こなっちゃん。」
「…………。」
そこでようやく…、ひいちゃんがウチらの存在に気づく。
「日向?」
由良もまた…、顔を上げるけれど。
私と目が合って、
それから……、お隣りの阪本くんをちらりと見て。
それから…、また、私を見ると。
「…ケッ……。……発情期の犬か。」
最っっ低な言葉を…吐き捨てる。
こんの……おサルさんがぁああ~!!!
先日山中にて発情しとったのは……
お前の方やろ~ッ!?
↑↑
って、思ったけれど。
阪本くんの手前……、
言えん。
「なんや、由良。ヤキモチか。」
阪本くんは阪本くんで、的外れな回答しとるし!
「まあ構うことあらへんな。ええわ、用あるなら仕方ないな。せやけど明日からは…帰れる時は一緒に帰ろうな?」
「……………??!」
阪本くんが、ぽんぽんっと私の頭を撫でるのを。
ひいちゃんも、由良も……
ぽかぁ~んとして見とる。
「…エ…?阪本…くん?」
あんさん、こーいうキャラでしたっけ?
「…………謝らへんで……。ゼッタイ謝らへん!」
由良は、ますますプンスカするし。
「わあ~、ホンマや、ヤキモチやいとる~♪」
ひいちゃんは余計な冷やかし入れるし。
私は……
ただウットリしてるし。
なんちゅー………はちゃめちゃな状況やねん……。


