しばらく走って、ウォークラリーのコースへと差し掛かった辺りで……。
阪本くんは、ようやく足を止めた。
「……あせった…。いきなり日向さん来るから。」
息を切らしながら、阪本くんは笑う。
「…ごめん、タイミング悪かったねんな?」
「ちゃうちゃう、衝撃のあまり…自分でも訳わからんことしてもーた。」
「…………。」
「やっぱダメだったんかなーて思てたから…。」
「…………。」
「来てくれて、ありがとー。」
「…………。い、いえ…。」
阪本くんの笑った顔は…、
穏やかで、ホッと人に癒しを与えてくれる……、
そんな優しい笑顔。
「ここで、ウォークラリースタートした時…、俺、ずっと日向さん見とったんやで。」
「ええっ…。」
「クラス違うし、なかなかチャンスないから…隙あらばなんとか上手いこと話しかけよう思て。」
「……チャンス…?」
阪本くん、何を言うてはるの?
それじゃあ私と全く同じやん。
「したら……、あいつ、由良が機転きかせてくれたやろ?さすがに…驚いてん。」
「…………。」
「アイツは…てっきりライバルやと思てたから。」
「…………?」
「俺が、何で日向さん好きんなったかわかる?」
「…………!へ……?『好き』…?!」
「うん。」
「………な、なんで!」
好きって……、
どういう好きやねん?
「おもろかったんよ。よう由良と一緒におったやろ?すげー楽しそうに笑ってんの。ええ顔してん。」
「…………。」
「最初はな、小林の男にちょっかい出しとる嫌な女かと思てたんやけど…、一気に覆された。見てて飽きない、可愛い、そんで……、ああ、好きなんやなって…気づいてん。」
「…………。」
「…言ってる意味わかる?かなしーことにな、俺が自分の気持ち自覚したのと、日向さんの気持ちに気づいたのが…同時だってこと。」
「……ん?」
私の…
気持ち?
「日向さんは…、由良が好きなんやろ?」
「…………。……はあ…?!」
「ええって、隠さんでも。ちゅーても、向こうは全く気づいてもなさそうやけどな?」
「……ご、誤解やで…ソレ。」


