ちっこいラブやもしれんけど。(12/22完全完結☆)








会場へ戻ると、キャンプファイヤーの火は既に大きく燃えたぎっていて。



生徒たちはそれぞれに…盛り上がっていた。




「…あ。おかえり、小夏。」



「ただいま。」



アキラと千波ちゃんが…笑顔で私を迎えてくれた。



「……………。」




由良の姿は…、ナイ。





「さっき由良戻って来たで。小夏会えたん?」



「ううん~、会えんかった。なんや、戻っとったんか。」



「神妙な面持ちでな。香澄ちゃん連れてまたどっかに消えおったわ。」




「……そっか。」



「それから、阪本くんが…小夏んとこ探しとったけど。」



「……うん。」



「知ってる?小夏。」



「ん?」



「このイベントでな、毎年…何組かカップルができるねんて。」



「………へぇ…。」



「今年はなんや波乱がありそうやなぁ…。」




「………。どうやろな…。……アキラ、ほんなら悪いけど私…」



「阪本くんとこ、行くんやろ?」



「ん。」



「多分その辺にいてると思うで。」



「ん、わかった。そしたら…行ってくるわ。」



「はいは~い。」















アキラの言う通り、阪本くんはすぐ近くの男子の輪の中におって。しゃがみこんで…何やらワイワイとじゃれ合っていた。





とてもじゃないけど……


声を掛けられる状況にはなかった。





考えといて言われたけど…、そんなん深い意味などなかったんかもしれんし、




「……仕方ないやん。」


違うことを…由良を優先させた私が悪かったんやから。



由良がくれたチャンスを…無駄にしてもーたな。







くるり、と背を向けて、歩き出そうとした瞬間……、




「……日向さん?」




不意に……、手を掴まれ、呼び止められる。





「さっき…探したけどおらんかったから…。」




「…………。……ご、ごめん。…えーと、あの……、手。」



「……うわっ…、ごめん、つい!」



阪本くんは慌てて…掴んでいた手を離す。




阪本くんと一緒にいた男子グループが…一斉に冷やかしの声を上げた。




「…ちょ…、おまえらうるさ…」




………。


慌てとる阪本くん、貴重やな……。