「男のくせに、ちっちゃいことでうじうじうじうじ……。」
「…………。…あの~、もしもし?」
「……うじ虫かいな!」
「………。誰がうじ虫やねん。ハナシ聞けや。」
ズビシっと……
チョップが突き刺さる。
「……学校で借りてた部屋で寝とっただけや。」
「………。……は?」
「半日、働き過ぎて疲れとったんやなぁ、気づいたら爆睡して…この時間やねん。」
「…………。」
「キャンプファイヤー、始まってもうたか?」
……………。
「………なんやねん!も~………。」
この状況下で爆睡やったなんて、どんだけ呑気やねんな。呆れて…言葉も出んわ。
「……お前、もしかして…心配して来てくれたんか?」
「……違うわ。」
「ええやん、照れんでも。」
「違うっちゅーねん。ただ…、自分のせいでこうなったなら、心証悪いやろ?折角の楽しい一日も台なしになるし……。」
「………。だから…、お前は悪くない言うてるやろ。しょーもないなあ…。」
由良は近くのベンチに、よいしょ、と腰かけて…。
私に、手招きする。
「……お前は…、ホンマええやっちゃ。」
顔はよく見えんけど、
声の抑揚で……判る。
いつもの…由良に戻ってる。
「………。そやろ?遅いねん、今頃気づくなんて……。」
隣りに座ったら、きっと今のマヌケな顔を見られてしまうから……。私はあえて、立ったまま。
「……あ……、点灯式、始まったんやな……。」
遠方に、ぼんやりと火の光が……揺らめいて見える。
「…間に合わんかったか。由良、アンタのせいやで。」
「………。…悪かったなあ……。」
「「……………。」」
二人、ぼんやりと……
夜風にあたる。
そよそよと、涼しい風がそよいで……
それに共鳴するかのように、木々が…、ざわざわと音を奏でていた。
「……あ……!」
目の前に。
ふわりと……小さな灯。
「……蛍…!」
「うそ、どこどこ?」
私はそうっと両手でそれを…捕まえる。


