ちっこいラブやもしれんけど。(12/22完全完結☆)





この日の授業は…バスケ。



男子がビブスを着て試合するのをぼんやりと眺めながら……、



私は夢見心地であった。





「ええなあ…、やっぱり。」





さっきの…阪本くんの笑顔を思い浮かべては、ほわわんと…幸せに浸る。



「……日向さん、見てみ、由良くんバスケ上手いやん。」



「え?ゆらぁ~?………そうや、由良のおかげやんなあ、アキラとは話せるようになったし、サカモトに出会えるし…。」



「…アカン、全く見とらんやろ。ちょっと…、大丈夫?」



「大丈夫、大丈夫やね~んっ!」



バシバシっと…アキラの背中を…叩く。



視界には、ぼんやりと映りこむ…由良の姿。



「ホンマあの子はちょろちょろしとるなぁ。おカンは心配やで。」



「私は日向さんが心配やし。」



「いややわ、小夏って呼んで☆」





いよいよ自分でも訳わからんよーになった時…、





「……日向ッ!!」



コートの中から…誰かの叫びが聞こえた。



「…え、」…と言うのが先か、ほぼ同時に……




顔面に、激痛が走る。





ぽて、ぽて、と…勢いをなくしたバスケットボールが転がって。




放心する私の鼻からは…



生暖かいものがしたたり落ちる。





「…………?」



腕でそれを拭ってみると。




「…………?!」



腕が…真っ赤に染められている。





「………血……、血や……!!」




半パニックになった私の元に、真っ先に駆け付けてきたのは………、由良。




「…ごめん、大丈夫かっ。」



「……えーよ、大丈夫。ちょっと保健室に行ってくるわ。」



「ちょい待て。血ぃ止まっとらんやないか。」



奴は迷いなく私の眉間近くを摘んで。


「…ちょっ…、誰かティッシュ持ってる奴おらん?」


周りへと…必死に呼び掛ける。



女子の一人がポケットティッシュを差し出すと。


由良は一枚を私に手渡して、「ちょいこれで抑えてて。」と指示して、それから…、もう一枚を手際よく裂いて、くるくると巻くと……




「…ごめん。」



血のついたティッシュを私の手から奪い、すかさず鼻の穴へと…ダンボを突っ込んだ。




「………。由良、手ェ汚れてるで。」



「別にかまへん。ちゅーか、もっと他に気にすることあるやろ。」



「………?」