ちっこいラブやもしれんけど。(12/22完全完結☆)




「午後の体育ってキツイな。」


「そやねぇ、けど体育してる時の日向さんて、おもろくて眠気も覚めるねん。ウチ、人間観察が趣味やねんなあ?なんでもまきまきとしちょるから、凄いなぁって。」


「………。それ、誉めとんの?」



「そや、ウチの『おもろい』は最上級の誉め言葉やで。」



「………。ほな、アリガトー。」








午後の体育。


体育館を軽く走って、ウチらは…出口を出たすぐそこの水場へと来ていた。





「あっついわ~!」




私は蛇口を捻り、水を出すと……、両手でばしゃばしゃと顔を洗った。




「……。ワイルドやなぁ…。」


アキラはやっぱり笑っている。







「………あ。しもた。ハンドタオル…教室や。」




「え。ウチも持ってないで。」




「「…………。」」




顔から水をダラダラと垂らして…。二人、その場に固まる。






「…ほんなら…、貸したろか?」




男の人の声がして、目の前に…タオルをスッと差し出される。




「……あんがとー…。」



とりあえずそれを受けとって、顔をわしわしと拭くと。


タオルからは…、柔軟剤の匂いと、男の人の…汗の匂い。




「……。すんません、ありがとーございました。洗ってお返し………」



ふと、顔を上げて見ると。




「…汗くさかったやろ。どうせ洗濯するもんだし…、えーよ、そのままで。」



白い歯を光らせ、男らしい黒髪短髪の爽やか男子が…


そこに!!



「……。あの…、クラスと名前聞いても…。」



「…?2年2組の阪本だけど……。」



サ…、サカモト!!



「ちなみに坂道の『坂』やねんな?」



「ちゃうよ。阪神タイガースの『阪(ハン)』で阪本。」




は…、阪神の阪で……阪本……!!!!!





「お、おおきに~阪本くん!いい夢見せてもろたわ~。」



「エ。あ、ああ…、うん?」



私は阪本くんの手をとって。ぶんぶんと…手を振り握手を交わす。





その場を去っていく阪本くんの背中を見送って。



それから……、アキラと顔を見合わせる。





「「今の、坂本と似てなかった?!」」






江夏様……、なんという偶然でございましょう。




阪神と巨人をコラボしたどストライクな人間が、まさか…近くにいてるなんて!