まだ真っ赤な空の下。
互いに別々の方へと歩んでいくけれど。
なんやろ……、背後が…さわさわするわ。
足を止めて…、くるり、と後ろへと振り返る。
元々ちっさい背中が、更に小さくなっていたけれど。
由良もまた…足を止めて。
こちらへと…振り返った。
「日向ー!!」
ちっこい体のどこから出るのか…、
大きな声。
「なに~?!」
「俺も好きやでーッ阪神!!」
……なんや、突然。
「そうかー!!」
由良は、ぶんぶんと無邪気に手を振って。
それから…走り出した。
「アレやな、『夕日に向かって走れーッ』の実写版?アホや、あいつ。青春ごっこしとるんかい。」
私はスマフォで…時間を確認する。
「……アカン…、ほんまやに始まるやん。……ウチも青春ごっこせなアカンのか……。」
私も、奴に負けじと…全力疾走する。
手に握ったままのスマフォには……
由良秋大の名前。
確かにそこに、由良の存在が……
刻まれとった。


