「由良、ゆ~ら~!!」
この日も、やっぱり授業の合間は頬づえついて。
ぬぼーっとしている由良はん。
うちの声が届いてるんか、解らないけれど。
覇気のない顔して…こっちを向きおった。
かと思えば…、
ゆっくりまた、視線を逸らして、
机に突っ伏すと……。
ぐうぐういびきをかいて、寝はじめてしまった。
「……このパターン、何日目やねん…。ぐうたらしてる割には…、このコ、大きゅうなっとらん?」
「………。ホンマやな。」
アキラが…由良の腹周りをつんつんと突く。
「…………!!」
ぼ……、ボディータッチや!!
アキラはん、私でも遠慮してせんことを…あっさりとやりおった!
「……アカン……、アカンで、小夏。」
「エ……。」
「…大きなった思たら……、このコ、背ェ伸びたんちゃうで。」
「…と、いいますと?」
「メタボや……!」
「…………!!!ちっこくて身軽なんが由良の特徴やのに……!」
勇気を出して…、ウチもお肉を掴んでみる。
「……………!!!」
確かに……ぷにぷにして気持ちえーもんを腹で飼ってらっしゃる…!!
ショックのあまり、その場へと固まっていると。
「由良くん、今日の間食にこれ食べてや?」
細谷くんが、由良の肩を叩いて。
寝ぼけ眼の彼の口元に……
特大の、おむすびを運ぶ。
「………!間食にこんなどデカイ炭水化物って…!ちょい待ち、まだ、1限終わっただけやん!」
「はあ?まだこんなん、序ノ口やん。」
おっとりとしてるハズの細谷くんが…
ぎろり、と睨んで来た。
「序ノ口って…、由良、このナリで十両入りしとったんか。」
「…え。」
この発言に…、細谷くんは、途端に顔を綻ばせた。
「なんや、相撲に詳しいんか、自分。」
「……?そや、ちっこい頃は野球と相撲の中継ばかりみとったからな。」
「好きな力士はおるん?」
「当時は、千代大海やな。やんちゃな感じがたまらんかった。父が千代の富士好きやってん、その弟子やし…、影響大きかったんかな。彼が引退してから…相撲は、とんと見なくなったわ。」
「九重親方、かっこええもんなあ…。俺は魁皇が好きやった。」
「わわ、いつかの名古屋場所で千代大海と優勝争いしとったやん!」
「こっちに分配あがったヤツやろ?もう10年くらい経つんちゃうか?」


