放課後………。
由良は相変わらず、自分の席で…ぼんやり。
「……。由良。まだ帰らへんの?」
私は思いきって…話し掛ける。
「……。相撲…、いや、綱引きの練習すんねん。」
「………。早速?熱心やな。」
「…………。」
奴は途端に、キッと恨めしそうに…こっちを睨みつけた。
「…お前、何で誘ってくれんかったん?ソフトに。」
「………?ソフトしたかったん?」
「当たり前やろ!自分ばっかええのになりおって…。」
「だって、立候補やったやん!私はてっきり由良もソフトかって思てたけど……一向に手を挙げんし!」
「あほ。よう考えてもみいや!誰が好き好んで綱引きすんねん。細谷みたいなのがメインの競技やで!俺なんてアリんこみたいにぷちって潰されてまうやろ。活躍どころか……、デカイのにかこまれて見えなくなるのがオチや。」
「……そんなん、自分が悪いんやろ。私かて由良とソフトしたかっのに……。責任転嫁せんといて。」
「「……………。」」
何コレ……、
何でこんなん険悪なムードにならなアカンの?
「……もうエエわ。お前、バイトあんのやろ?さっさと行き?」
「…………。言われんでも、もう行かせていただきますわ。」
「精々オモロがって見てればエエねん、俺がぶくぶくと肥えていく姿を……。」
「……………。」
由良………?
どないしたんよ、アンタらしないやん。
そんなん卑屈になること……
「お前が行かんなら俺が行くわ。ほんなら、サイナラ。」
由良は椅子から立ち上がって。
教室のドアへと…手を掛ける。
「…………。………なんやねん、自分……。アンタこそ精々指くわえて見とれっ、私の上野ばりのピッチングを……!あほ由良……!」
私は由良よりも先に、教室を出て……。
奴に向かって、「イーっ」とすると、
一目散に廊下を……駆けていった。
「……アホは…どっちやねん……。」


