ちっこいラブやもしれんけど。(12/22完全完結☆)







ひいちゃんと別れて、どんどんペースを上げて…歩いていく。







「……い…!」




………?




「オイッ!」




「…………?!」





途端に。




ガッチリと肩を掴まれて……



急ブレーキがかかる。





振り返ると、膝に手を置いて、ゼーゼーと苦しそうに息を吐く……



由良の姿。






「………?由良…?アンタ、デートはどうしたん?」




「……っお前のせいで…お開きや。」



「なんか粗相して早速振られたん?」



「粗相したんわお前や!アホ!気づいとらんかいっ。」



「…へ?」




由良は私の前に…何かを翳す。



「……アレ…?それ、私のスマフォやな。いつの間にくすねたん?」



「ちゃうわ!ボケもええかけんにしとけよ?……さっきの店に…忘れとったみたいやから。ちゅーか、お前歩くの速いねん。」



「…アンタの足が短すぎなんやろ。てか…、そんなんでわざわざ届けに…?」



「え。」



「明日でも全然かまへんのに。」




「そやけど…、ないと困るやろ。」



由良はボリポリと頭をかいて、照れ臭そうに…俯く。




「…誰も連絡よこさんし、無くしてもひいちゃんに聞けば友達の番号わかるから…さほど困らんよ?」




「…………。」






………もし無くしたのが由良の方だったら…、きっと、よほど困るんやろな。そりゃそうか、彼女おんねんからな。


私は…違うんやけどなあ……。





「携帯なのに、ウチ不携帯やねんな。……けど……、わざわざありがとー。」





ええとこあるやん、こいつ。





「………。やっとわろたな。」





スマフォを手渡しながら…、由良が真っ直ぐに私を見る。






「…今日一日、元気なかったやん。」




「……そう?暑いからかな?」



「絶対そうやって。眉間にシワばっか寄せて…。ついでに言うならな、お前が俺に笑いかけるの初めてやわ。」




「……え。」




「ええモン見れた。デートすっぽかしたかいあったわ~。」




「………。」




オレンジに染まる空が、由良のほっぺたまでほんのり色づけて。



私はうっかり……


見入ってしまう。