「邪魔。そこに水置くんやけど。」
うちら二人の間を、由良が…入り込んでくる。
由良は座席にポットを置いて、クーラーボックスを乱暴に下ろすと。
「……。邪魔は俺やったか?」
おどけるように…笑った。
「そこの…ちびっ子。」
ああ?阪本くん……、
由良のウィークポイント刺激しよった!
「ああ?!」
由良さん、メンチきっとるけど……
首攣るで?
「オマエ、ムカつくんじゃ。」
「…はあ~?!何やねん、急に!」
「別れ話くらいちゃんとさせろや。」
「エ。」
由良は、阪本くんと私の顔を見比べて。
「………。そりゃ~…失礼しました。」
すごすごとちっちゃなって……
その場を去って行った。
「………あ~あ。あんまムカつくから本人に言うてしもた。」
「…………。」
「別れても…奴には言わんでおこう思てたんやけどな。そしたら、日向も気ぃ遣いやし…、自分からきっとあいつには言わんかったやろ?そしたら…すぐにはくっつかんやないかなぁって。」
「…………。」
「チャンスを与えたよーなもんか。」
「……あの………。」
「ええから、早う言えや?たったひと言やん。いつまでも、ダラダラしとったら…もっと諦めつかなくなる。」
「…………。」
「……臆病やな。なら、ハッキリ言うたるわ。………他ん男とわろてる日向さんなんて見とうない。せやから……、別れて。」
「………。……うっ…」
「……ちょっ…、泣くんか!何でやん!」
「だって…、初めから阪本くん優しいかったんやもん。こんなん私を好きゆーてくれたんのも、阪本くん初めてやったし……。」
阪本くんは、困った顔で。
私の頭を……
何度も撫でた。
「…せやから、そんな男を惚れさせてしまうようないい所を引き出したのが……由良やろ?誰よりも先に、アイツが…気づいてたんやで。やっぱ勝ち目…なかったわ。」
「……ごめん。」
「………アホやなあ……。」
阪本くんの優しさが、じんと……胸に染みた。


