「……。え、それって2組の小林香澄やん!やるなぁ、由良くん。」
「せやろせやろ?それがちっこくてお人形サンみたいやねん!ちびっ子でも人生何があるかわからんもんやなあ……。」
学校帰り。
近くのファストフード店でポテトをつまみながら…、私はひいちゃんと向き合っていた。
「せやけど、由良くん割と女子に人気あんねんで?」
「は?」
「そやから、小林さんこそ上手いことやったんかもなぁ~?」
「…………。」
「見掛けとちごうて、図太い神経しとるのかもわからんな。」
「……や。しおらしー感じやったで。由良もデレデレ。」
「……ふ~ん?で、こなっちゃんは~?随分呑気にしてるけど、それでええんか?」
「?何が?」
「だって二人よく一緒におるやん。友達一号やなかったん?とられて悔しないの?」
「……。ひいちゃん、あんなん友達にも値せぇへんサルや。悔しいとか皆無やで。……せやけど…、ちっとうらやましーかな。」
「……?」
「ひいちゃんも彼氏おるし、あんなんでも彼女できるし、ウチばかりずっと…このままやんなあ?」
「…………。」
「そや、彼氏はおろか友達さえおらん。なんちゅーか…、女子のみなさんは勘違いしてはるようで。」
「…と、言いますと?」
「由良と言い合ってばかりやろ?それに、見た目もコレやしな。せやから、おっかない女と思われとるよーでして。みんなビクつきながら話かけよる。おまけにこっちは緊張MAXで…ガッチガチになりすやん?ますます誰も近寄らん。」
「おもろいね、それ。」
「おもんない!」
「……だから、由良くんみたいな人って貴重やと思うなあ、私は。」
「…………。」
まあ、確かに…レアなやっちゃな。
「…あ。噂をすれば……。」
「ん?」
ひいちゃんの視線の先には、
噂の男と……リアルチワワ。
「……うわー…、最悪や。」
二人は何やら話をすると、由良だけレジに残して……
彼女が、こちらへと向かって歩いてきた。
「……ジェントルマン気取りやな、おごったるんかい。」
ひいちゃんと声を潜ませ、存在に気づかれようにと…やり過ごす。


