「キミはやっぱり変わってるね。……『そう』だって気付いて男の子の格好するなんてさ〜、相当変わり者だよ〜?」
まぁそんなところが素敵なんだけど〜、なんの恥ずかし気もなく言われ、言われたこっちが恥ずかしくなる。
「どっちがだよ。……お前のその喋り方も一種のカモフラージュなんだろ? 『自分は他の人よりとろいです』っていう」
正解〜、そいつはにぱ、と笑うと再び首筋に擦り付く。そして耳元で囁きを漏らした。
「…………大好き、誰よりも」
その甘い囁きは俺の耳の中で何度も反芻された。
「・・・キミからも、言って欲しいな?」
馬鹿、軽く小突き強く抱き締める。頬と頬を触れ合わせると、互いの体温が伝わる。
「ね、早く」
「っ……るせーな、わかってんよ」
小さく呼吸し、息を整える。
「……あ、やっぱりちょっと待って」
はぁ?、言うとそいつは耳元に唇を寄せ
「……私がたまにいなくなるのはね、カウンセリングに行ってるからなんだ」
「・・・。今言うことか、それ」
ふふ、楽しそうに笑うそいつをよそに再び抱き締める。
「……行くぜ?」
こくん、頷き此方の背中を強く掴む。俺はその細い体を折れそうなぐらいの力で抱き。
「アイシテルよ、気の置けない恋人」
夏の風が、部屋を抜けた。
-The End-

