「…え…??…鳴人…??」
「ガシャンっ!!」
重厚な音を立てて目の前の引き戸が勢いよく閉ざされた。
何??
何が起きたの?
「鳴人っ!!鳴人っ!!ねぇっ!!どうしたのっ!?」
状況が飲み込めない私は、
とまどいを隠せずふいに閉ざされた扉を力まかせにドンドンと叩く。
突然の鳴人の態度の変わりように、頭に血が登り熱くなる私とは対象的に
鳴人の冷ややかな声が扉越しに響く。
「…ごめんね?真央ちゃん。
僕、大事な神事の準備があるから……
しばらくそこで待っててよ」
「何言ってんの??鳴人!やめてよっ!!真っ暗で何も見えないっ!!怖いよっ!!」
「大丈夫だよ。言ったでしょ?そこは特等席なんだ。
僕ですら滅多に入る事は許されないんだよ??
それに……真央ちゃんは一人じゃないよ」
「な…何…??意味わかんない……ねぇ、鳴人っ!!」
「おっと……。邪魔者が気づいたようだね……。
今夜は忙しくなりそうだ……。
じゃ、真央ちゃん、僕は行くよ。
ゆっくりお祭りを楽しんでね……」
無機質な冷たい響きだけ残して鳴人が立ち去って行く。
嘘でしょっ!?
何でっ!?
「……鳴人っ!!……鳴人ぉぉ~~っ!!」
たったこの数十分で
鳴人と私の間に一体何が起きたのか??
理由が解らない。
得体のしれない恐怖から
半狂乱で扉を叩く。
しかし、重厚な扉は私の力ではビクともしなかった…。
「………鳴人……何で………??」
呟いてみても答えを求めたい相手は
もうここには居ない。
真っ暗な室内は
気を抜けばその闇に飲み込まれてしまいそうだ……。
私はなす術もなく、
膝を抱え込んで、その場に座り込んだ……。


