私は、もしかしたらウトウトしちゃったのかも知れない。
ずっと、ライブハウスの中の反響のような振動を、耳の内側で感じていた。
時々、ジミー·ペイジの速弾きが、遠くで聞こえるようで。
ふと。
太もも辺りを。
触られた気が、した。
体は、休んでくれ、と、確実に訴えている。
だけど頭は、ヤバいぞ、なんか触られたぞ、と。
寝ちゃ駄目だ、と叫んでいる。
軽い、金縛り状態。
必死に。
ものすごく必死に、意識の覚醒を図る。
悪夢から抜け出そうとするように、力一杯。
車、動いてる?
止まってる?
今、どこ?
シートベルトが、ちゃんと留まっているか、確かめてくれた訳じゃないと思う。
私のささやかな胸に、明らかな、手のひらの感触。

