【続】朝の旋律、CHOCOLATE



私は、もしかしたらウトウトしちゃったのかも知れない。

ずっと、ライブハウスの中の反響のような振動を、耳の内側で感じていた。

時々、ジミー·ペイジの速弾きが、遠くで聞こえるようで。



ふと。

太もも辺りを。
触られた気が、した。



体は、休んでくれ、と、確実に訴えている。
だけど頭は、ヤバいぞ、なんか触られたぞ、と。

寝ちゃ駄目だ、と叫んでいる。
軽い、金縛り状態。



必死に。

ものすごく必死に、意識の覚醒を図る。

悪夢から抜け出そうとするように、力一杯。


車、動いてる?
止まってる?

今、どこ?



シートベルトが、ちゃんと留まっているか、確かめてくれた訳じゃないと思う。


私のささやかな胸に、明らかな、手のひらの感触。