どうした?
と。
すぐ電話に出た哲の声に、ほっとした。
具合が悪い時って、ほんと心細いから。
「狭山工販さんと…ごはん来たんだけど…やっと終わったから、今から帰る」
…狭山工販と?
と、訝しげな声を出した哲の気持ち、わかる。
普段、無理聞いてるんだから、ごはんくらい奢ってもらえ、って軽口を叩ける関係じゃ、ない。
そんな信頼関係、この息子とは築けてない。
私は。
ふわふわと、地に足が付いていないかのような気持ち悪さに、大きく深呼吸した。
「とにかく、今、お店出たから…」
もうすぐ帰れる、とだけ伝えて、電話を切った。
胸の真ん中がゴロゴロと、嫌な音を低く響かせていて。
咽せるように咳き込めば、さっきよりもずっと、痛かった。

