そろそろ帰りたいんですが、と。
目の前の冷めたピザを見つめながら言ったのは、もう、夕焼けが綺麗な時間くらいには、なっていた。
「ちょっと、電話してきます」
きっと、心配してる。
多分、哲は。
もう配達から帰って来ていて。
磯部さんに、私が狭山工販の息子と現場に行った、と聞いたはず。
設置が上手く行ってない、と判断してたとしても、きっと心配してる。
だって。
私が熱出すかもしれないことなんか、昨夜からわかっていたんだから。
ご馳走さまでした、と。
私は一応、言う。
ニコニコしている彼は、早くね、なんて言いながら、私の肩を抱くように、押した。
ぞわり、と。
悪寒が走ったのは、熱のせいだけじゃ、ないと思う。

