私は。
まあ、食べたら帰るだろう、くらいに考えて。
車で来たのに、ワインを注文しようとした馬鹿息子を、制止した。
思えば、飲ませてしまって、私が運転すれば、真っ直ぐ帰れたかも知れないのに。
咳が、込み上げる。
じわじわと上がっているに違いない熱は。
哲ならば、寝ろ、と私を無理にベッドに押し込んで、自分は消えてから。
プリンとか。
ヨーグルトとか。
そんなものを、袋いっぱい買ってきてくれるような、高さだと思う。
「俺さ、仕事嫌いなんだよね」
「…はあ」
「いつも発注し忘れちゃって」
嫌いだと忘れる…のか?
面倒だからやらない、んじゃなくて?
「蜜はいつも、俺の我が儘きいてくれるからさ!」
呼び捨てた!?
うわ不快!
うわ不快!
「仕事で、嫌な事とかあったら、いつでも相談に乗るから」
今、最大の嫌な事は…お前だ…、とは。
…言えない………よねぇ…。
哲…、仕事って大変だね…。

