「ほんとは、昨日納品するはずだったんだ」
昨日なら、技師いたんだけどさ、なんて。
「でも、赤い髪のヤツが、また無理って言うから仕方なくて」
…哲のせいにした!?
だって無理だったもん!
「………もう少し、早く品物入れてくれないと、困ります」
さすがにムッとした私は、彼の顔を見ないまま、そう言った。
「だから、今ちょっと来て、見てくれない?」
…………無視、か。
やだなぁ…、こういう、人。
だけど…。
行かないわけにも、いかない。
休みの間に、その機械の組み立てを終わらせたいだろうに、品物が来ないんじゃあ、狭山工販の信用が無くなる。
ひいては、うちに来る仕事が減ってしまう。
「手…洗ってきます」
あからさまに、嫌々なオーラを醸し出してみたけれど、彼には全く通じなかった、みたいだった。

