【続】朝の旋律、CHOCOLATE



いえ、要りません。
急いだ分、加工賃に上乗せして請求するので、お気遣いなく、と。

言いたい。
言い放ちたい。



「…あ、りがとうございます」


「どういたしまして~。蜜さんには、この先もずっと世話になるしね!」



………えぇ~…。


私は、旋盤の上に、花束を置いた。

朝に貰ったチョコレートと、ピンクの花。

それから、ステンレス製の、加工途中の、部品。



「あと、15分、待って下さい」

「うん、早くね!」



…ああもう。
哲、早く帰って来ないかな…。



上機嫌なのか、床に敷いた新聞を、しゃがみ込んで読み始めた、かの人。


…うん。

充分、嫌いだけど。


昨日、いた気がしたのは……気のせい……だったのかもな。

本人、何にも言わないし。
この人が隠れる、とかないような気がするし。