「哲!哲!もう薬飲まなくてイイって!」

味覚障害、完治っ!
やったあ!

最近ちゃんと、ごはんおいしかったもんねぇ!




病院の外で待ってくれている哲は、赤い髪。

どこのホストか、ビジュアル系バンドマンか、っていうような格好で。

耳にはたくさん付く中に、私とひとつずつわけた、ピアスも光る。


唇と眉にも、小さなピアス。

見えないけれど、おへそにもある。
それから……もうちょっと下の方…にも。




少し雨の降りそうな空を見上げていた哲は、私を振り返る。

それから少しだけ、首を傾けるようにして、笑う。




「…そか、良かった」

「うん!哲、ありがとね!」


きっと、作る料理の味付けも、ちょっとズレたりしてたと思うのに、一度も残したりしなかった。

治りゃしないもん、と投げ出しがちな薬を、三度三度、口にいれてくれて。


苛々と泣く私を、抱き締めてくれて。



哲、哲。
ほんと、ありがとね!